アラミドメッシュによる剝落防止|ひび割れ進展も同時に抑制
アラミドメッシュ剝落防止

ファイベックスでは、高強度で軽量なアラミド繊維をメッシュ状に組み込んだ「アラミドメッシュ」を取り扱っております。トンネル覆工コンクリートに貼り付けることにより、覆工コンクリートの剥落(はく落)を防止することができます。
- 軽量で施工しやすい
アラミドシートは鋼材の約5分の1の軽さで、現場搬入も容易です。重機を必要とせず、人力で扱えるため、狭小現場や高層階でも施工性に優れています。 - 柔軟性と追従性
アラミド繊維シートはしなやかであり炭素繊維に比べてハンチ形状やテーパー付き断面など複雑な形状にも密着しやすい特性があります。これにより、条件によっては面取り量や下地調整の負担を低減できます。 - 非導電・非磁性
炭素繊維と異なりアラミドは導電性を持ちません。そのため、電気設備が近接する場所でも安全に施工でき、感電やショートのリスクを避けられます。 - 高い耐久性
アラミドは錆びることがなく、水分による劣化も生じません。そのため、長期的に安定した補強効果を発揮し、再補強の必要性を抑制します。 - 短工期・低コスト
シートを樹脂で含浸しながら巻き付けるシンプルな工程のため、施工スピードが速く工期を短縮できます。結果としてトータルコストも低減します。
トンネルなどのインフラ構造物における「剝落」

剥落とは、コンクリートやモルタルなど構造物の表面が内部から浮き上がり、最終的に母材から剥がれ落ちる現象を指します。トンネル覆工や橋梁下面で発生しやすく、剥落片は小さな欠片から数百キロに及ぶ大きな塊まで多様です。見た目には突然の落下に見えても、内部では長期にわたる劣化や応力集中が進行しており、「老化現象」の一つといえます。
剥落が起きる主な原因
剥落は様々な劣化メカニズムにより引き起こされます。環境条件や供用条件によりそれぞれ劣化メカニズムが異なり、有効な対応方法も変わるため、効果的な維持管理のために把握しておく必要があります。
1. コンクリートの中性化
コンクリートは本来強いアルカリ性を持ち、この環境が鉄筋の表面に「不動態被膜」と呼ばれる防錆層を形成しています。しかし長年の供用や酸性雨等により二酸化炭素や酸化物が表面から内部に浸透すると、コンクリートのアルカリ性が失われ(中性化)、防錆皮膜が壊れて鉄筋が腐食します。鉄筋の錆は体積が2〜4倍に膨張するため、周囲のコンクリートに強い圧力を与え、ひび割れや剥離を引き起こします。特に高温多湿な都市部や換気不良のトンネル内では中性化の進行が速く、施工から30〜40年でかぶりコンクリートが危険域に達する例も報告されています。
2. 鉄筋腐食(塩害)
海岸地域や融雪剤を多用する寒冷地では、コンクリート内部に塩化物イオンが浸透します。塩分は鉄筋表面に直接作用して錆を誘発するため、中性化が進行していなくても腐食が始まる点が特徴です。鉄筋が錆びて膨張すると、コンクリート表面に縦方向のひび割れが生じ、やがて剥落へと至ります。この際、茶褐色系の色を伴った錆汁を伴うことが多いです。塩害による劣化は初期には外観で分かりにくいことが多く、剥落が起きて初めて気付くケースもあります。また、補修を行っても再び塩分が侵入しやすく、維持管理の難しさが問題視されています。
3. アルカリシリカ反応(ASR)
ASRは、骨材に含まれる反応性シリカ鉱物と、セメントに含まれるアルカリ分が反応して「膨張性ゲル」を生成する現象です。このゲルは水分を吸収すると膨らみ、コンクリート内部から強い膨張圧を加えます。その結果、表面に亀甲状のひび割れが発生し、そこから剥落につながります。日本では1970年代から1980年代に建設された構造物で問題化しており、現在でも一部のトンネルや橋脚でASR由来の剥落が確認されています。ASR抑制対策の確立以後は、骨材のASR試験法の普及やセメントのアルカリ量減少により、新設構造物でのASRの発生は少なくなりました。乾湿の繰り返しが多い環境(例えばトンネル坑口や高架橋下面)で進行が速い傾向があります。
4. 凍害
寒冷地に特有の劣化要因が凍害です。コンクリート内部に浸入した水が凍結すると体積が約9%膨張し、これが繰り返されることで微細なひび割れが進行します。さらに融雪剤による塩分の浸入と組み合わさると劣化が加速します。初期には「ポップアウト」と呼ばれる小さな表層剥離として現れ、やがて広範囲にスケーリング(表面が薄くはがれ落ちる現象)が進行し、剥落につながります。そのメカニズムから、水と直接接する機会が多い土木建築物の方が建築構造物よりも生じやすく、特に山岳トンネルや寒冷地橋梁の床版下面で注意が必要です。
5. 施工不良
コンクリートの品質は施工時の管理に大きく左右されます。打設時に生じたコールドジョイント(打ち継ぎ不良)は長期的に弱点となり、そこから水や二酸化炭素が侵入して劣化が進行します。また、かぶり厚が不足していれば鉄筋が早期に腐食環境にさらされ、剥落が発生しやすくなります。さらに締固め不足による空隙やジャンカ(豆板)が残ると、局所的に耐久性が著しく低下します。こうした施工不良は完成直後には目立たなくとも、数十年を経て剥落という形で顕在化することがあります。
剥落防止と補修の方法
点検で剥落のリスクが確認された場合には、迅速かつ適切な補修や防止対策が求められます。劣化部を修復するのか、初期欠陥部を修復するのかなど、補修の目的毎に工法が異なります。また、これらの工法は施工方法によって細分化されます。
断面修復工法
劣化したコンクリート部分を取り除き、専用の補修材で断面を復元する方法です。施工規模と施工方向に応じて左官工法や吹付け工法、充填工法といった工法が使い分けられます。この補修によって鉄筋を再び保護し、構造体の耐久性を回復させることができます。また、補修に時間を要する場合や通行量の多い箇所では、剥落防止工を併用することもあります。こうした対策は首都高速道路やNEXCOの現場でも広く採用されており、暫定的ながら確実な安全性を担保する手段となっています。
剝落防止工法
剥落による通行車両や歩行者への直接的な危害、重大な交通事故を引き起こす可能性等を防止するための工法です。そのため、コンクリートの劣化よりも被害防止に重きを置いています。種類としては、大まかに連続繊維接着工法とネット工法に分類されます。
連続繊維接着工法
剥落防止シートをコンクリート表面に貼り付けることで、劣化因子の遮断やひび割れ進展の抑制、剥落の防止をする工法です。トンネル・下に鉄道がある高架・低温環境下など、塗装では困難な短時間施工が求められる厳しい条件下での適用にも適しています。
設計者は目的や周囲環境によって材質を選定する必要があります。例えば、鉄道関連のトンネルなどの電化設備が密集する環境では、導電性を持つ炭素繊維シートでは電子機器を短絡させる恐れがあるため、アラミド繊維を用いたシートを使用します。
ネット工法
ネット工法は、コンクリート構造物の表面に、高強度の繊維ネットである剥落防止ネットを物理的に張り巡らせることで、剥落したコンクリート片を受け止めて事故を予防するために使用されます。万が一の落下事故が重大な被害を引き起こすリスクが高い、橋梁や高架構造物で多数の採用実績があります 。
アラミドメッシュによる剝落防止
トンネル内の覆工コンクリートの剥落(はく落)を防止解決する手段として、アラミドメッシュによる補強をご提案いたします。防弾チョッキや航空機部材にも使われるほど軽くて強靭なアラミド繊維を用いた補強で、施工のしやすさと高い耐久性の両方を実現させることが可能です。
また、電気を通さず、磁化しない材料なので、鉄道のトンネル、跨線橋、駅舎などの補強に多く利用されています。既存の剝落対策でお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。


