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耐震ケーブルブレース コラム Column

鉄骨ブレースに代わる新提案|低コスト・容易な施工

狭小空間 設備の干渉 短工期
制限のある条件下での耐震補強に。
軽くて柔軟、一般的なブレースよりも強い
耐震ケーブルブレース

特に地震の多い日本において、建物の耐震対策は避けては通れない課題の一つです。

耐震用の建築材として主流であるのが「鉄骨ブレース」ですが、建築物を鉄骨ブレース工法で構造設計する際、鋼材の配置に苦労したことはございませんか。

・既存設備と干渉しないように鉄骨ブレースを配置したい。
・耐震性や耐久性を担保したい。
・工期や施工性、コストにも配慮したい。

上述のように、施主さまのニーズに合わせて、デザイン性や耐震性、施工性など考慮すべき観点は多岐にわたります。この記事では、鉄骨ブレース工法の特徴の整理と、鉄骨ブレースに変わる新提案として「耐震ケーブルブレース」のご紹介を、実績を踏まえつつお伝えします。

鉄骨ブレースとその普及

鉄骨建築物の代表的な工法の一つに、鉄骨ブレース工法があります。ラーメン構造やトラス工法に並んで大型の建築物によく採用されています。

鉄骨ブレースとは?

鉄骨ブレースとは、鉄骨建築物のフレームに取り付けられる補強部材です。柱と梁の間に斜めに鋼材を通し、建築物の剛性と安全性を高めます。縦方向だけではなく横方向からの力にも耐えられるので、耐震性・耐風性に優れています。

普及とその背景

鉄骨ブレース工法が日本で普及した背景には、地震や台風など自然災害が多いという自然環境があります。鉄骨ブレース工法は1950年代に開発され、1981年に認可されました。広く普及した一つの転機になったのは1995年に発生した阪神・淡路大震災です。これ以降、耐震技術への関心が高まり、さまざまな耐震工法が生み出されました。

鉄骨ブレースの特徴

鉄骨ブレース工法は耐震性に優れ、コストも比較的安く済む反面、外観性に特徴が出ます。これらについて詳しく解説します。

施工性

鉄骨ブレース工法は、工場で事前に製作されたブレースを現場で組み立てていきます。構造はシンプルで特別な技術や経験を要する作業が少ないため、組み立て時間と工期が短くて済みます。

また、ブレースを工場で製造することで部材の標準化と厳格な品質管理ができるため、現場でのトラブルを削減できます。

耐震効果

鉄骨ブレース工法は、三角形の安定性により大きな耐震効果を得ます。

建物を柱と梁だけで支える場合、面は四角形になります。四角形は四辺の長さだけでは形が定まらず、横から力が掛かったときに建物が平行四辺形になり潰れてしまいます。そこで斜めに鉄骨ブレースを入れることで、面に複数の三角形を作ります。

三角形は、角度を変えずに三辺の長さを変えることはできません。横から大きな力が掛かって三角形をゆがませようとすると、一辺が伸ばされ一辺は縮みます。引っ張りや圧縮の応力は曲げ応力より強い、という鋼材の特性を最大限利用することで高い耐震効果が得られます。

また、角度も重要です。ブレースは約45°で配置するのが最も効率的に地震力を分散させ、約35°で配置すると部材一本当たりの効率が最高になります。

コスト

鉄骨ブレース工法は、細い部材でも大きな耐震性を得られます。一般的に、ラーメン工法やトラス工法よりもコストが抑えられますが、壁面の耐震性を強化したRC耐震壁工法よりは高価になります。

外観性

新築時のブレースは壁の内部に入れられるため、外観を美しく保つことができます。しかし、後付けで耐震補強工事に採用する場合は、外観・内観に大きな存在感がでてしまい、デザインや室内からの見え方に影響を及ぼす可能性があります。

鉄骨ブレースの課題

非常に優れた鉄骨ブレース工法ですが、耐久性やロングスパンへの対応、運搬や施工上の問題や意匠性などに設計上見逃せない課題もあります。

耐久性に関する課題

大地震が起きた際、鉄骨ブレースの作用力に構造体そのものや基礎が耐え切れずに建物が崩壊してしまうこともあります。

地震は上下左右さまざまな方向から荷重が掛かります。細長い鉄骨は引っ張り応力より座屈応力は弱いという特性があるので、座屈応力を満足させようとすると鉄骨が太くなりコスト面や施工性が低下します。

また、ブレースを露出させる場合、風雨にさらされるとさびなどにより劣化する恐れがあるため、防錆加工等の風雨対策と定期的な点検が必要です。

ロングスパンの配置に不向き

柱間がロングスパンになる建物の場合、複数のブレースをプレートで連結させる必要があります。設計や施工のコストがかかり、施工期間が長くなります。連結部分は鋼材よりも弱いためこの部分から破壊される危険性もあります。このため、トラスやダンパーといった他の方法を組み合わせるなどの検討も必要になってきます。

運搬や施工上の制限

鉄骨ブレースには型鋼が使用されるため、運搬に重機が必要です。また、鋼材が大きいと施工の際の取り回しも難しくなります。据付ボルトの本数も多く、施工に時間と手間がかかります。

また施工に際しては、建物までの搬入経路が狭い、ダクトや配管が入り組んでいるといった障害がないか事前調査が必要になり、準備工が必要となるケースもあります。

意匠性の低さ

鉄骨ブレースの耐震性能を最大限発揮するためには、一定の幅や大きさが必要です。これに加え、鉄骨ブレースが入る壁面は窓やドアなどの開口部に制限がかかるため、施主との綿密な打ち合わせが必要です。

また外付け鉄骨ブレース耐震補強工法を採用した場合、大きな鉄骨が建物の外側にむき出しになるので圧迫感のある印象になります。

「耐震ケーブルブレース」の新提案

鉄骨ブレース工法の利点を生かしつつ、欠点を最大限に克服したのが耐震ケーブルブレース工法です。その利点を解説します。

耐震ケーブルブレースとは、マンションや橋桁のPC緊張材として広く用いられている高強度の「亜鉛めっきPC鋼より線」を使用した鋼線状のブレースです。端末金具も溶融亜鉛めっき仕上げされており、屋内施工の場合は追加の防錆加工は不要です。

全体コスト削減・工期短縮

耐震ケーブルブレースは鉄骨ブレースに比べて施工性が良く、施工費を大幅に抑えられます。条件によっては工期を鉄骨ブレースの半分以下に短縮できます。

強度5倍、重量5分の1

耐震ケーブルブレースは、一般的なブレース材と比べて耐力は約5倍で重量は約5分の1と、軽量でありながら抜群の強度があります。弾性係数はSS400材と同等です。(一財)日本建築センター「建設技術審査証明」(BCJ―審査証明―198)を取得し、応答解析により耐震補強性能を確認しています。

圧倒的な施工性の良さ

ケーブルブレースは運搬に重機を使わずに、人力で運搬・緊張作業ができます。直径1.5mほどのコイル状や直線状にして曲げながら運べるため、障害物が多い現場でもスムーズに取付できます。

しなやかで柔軟性があるため、居ながら施工や狭小空間への施工に力を発揮します。ロングスパンの配置も可能になり、設計の柔軟性が高くなります。現場によっては足場を設置せず、高所作業車での施工も可能です。トルクレンチを用いて人力で緊張作業を行え、設備の移動も最低限で済みます。

建物外観を邪魔しない見た目

耐震ケーブルブレースは一般的な鉄骨ブレースよりも細く、目立たせずに配置できるため、建物内外の美観を損ねることなく施工できます。鉄骨特有の圧迫感もありません。

狭小空間 設備の干渉 短工期
制限のある条件下での耐震補強に。
軽くて柔軟、一般的なブレースよりも強い
耐震ケーブルブレース

耐震ケーブルブレース採用事例

以下に耐震ケーブルブレースの採用事例を紹介します。

1.屋外階段|施工期間2日の短期対応

千葉県の小学校の屋外階段で採用された事例です。施工期間は2日間と、短納期を実現しました。

物件概要 都道府県 千葉県
施工期間 定着金具:1日、ケーブル:1日
ケーブル仕様 7本より15.2 mm
長さ、本数 約2m/4本、約9m/6本

2. 工場|狭小空間での施工

石川県の工場において、既設のトラス梁が込み入った狭小空間にケーブルブレースを施工しました。定着金具はボルトで接合しています。

接合方法として、火を使わないボルト式のほか、現場での溶接も可能です。

物件概要 都道府県 石川県
屋根面積 7,728m2
施工期間 休日・祝祭日で2年間
ケーブル仕様 19本より19.3 mm
長さ、本数 約24m、112本(ツイン配置)

赤色:CB 緑色:既存ブレース

3. 物流倉庫|足場無しでの作業

岡山県の物流倉庫において、足場を組まず、高所作業車で施工した事例です。
フォークリフトで複数本をまとめて間配りすることで、作業効率を大幅に改善しています。

物件概要 都道府県 岡山県
屋根面積 約24,000m2
施工期間 1年間(8工区に分割)
ケーブル仕様 19本より28.6 mm
長さ、本数 約15m、338 本

4. 事務所|大型重機無しでの作業

大型重機を使わずに施工した事例です。
足場面積や開口部を最小限に抑え、天井内部の干渉物も避けて施工しています。

特長 大型重機を使わずに搬入実施
足場面積、開口部も少なく作業
天井裏の干渉物を避けて配線を実施

導入を検討されている設計者様へ

鉄骨設計は建物の骨格だけに失敗が許されないので、新工法は設計・施工に不安な点もあるかと思います。耐震ケーブルブレースは販売開始から10年以上が経過し、導入実績は200件以上と年々増加しております。初めて施工される時は、納入時または取付時など、ご希望の日時に弊社より指導員を派遣して、取り扱い説明をいたします。

設計上のご不明点は、ぜひお問い合せフォームからお聞かせください。関連資料もダウンロードできますので、検討のお役に立てたらと思います。

ゼネコン・施工業者様へ

耐震ケーブルブレース 取り付け体験

神鋼鋼線工業 尼崎本社にて、
耐震ケーブルブレースの取り付けを体験いただけます。
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施工を希望されている施主様へ

弊社では信頼できる施工会社様をご紹介しておりますので、お気軽にお問い合せください。尚、お付き合いのある施工会社様での施工も可能です。

狭小空間 設備の干渉 短工期
制限のある条件下での耐震補強に。
軽くて柔軟、一般的なブレースよりも強い
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