人的資本経営について

人材戦略の概要

当社は、「社会が前に進むために、『なくてはならない価値』を提供し続ける」をミッションとしています。人的資本経営を推進し、持続的な成長を実現するためには、①人材を確保し、②世間の変化に対応しながら継続的に企業価値向上をリードできる人材の育成が必要と考えます。その土台として、一人ひとりの個性を活かした、多様な人材に選ばれ、働き続けられる会社となるべく、③人事の仕組みや就労環境を整えます。

人材の確保

当社の人員構成は40代が最も多くなっており、2030年頃から急速に若返りが必要となる想定です。人材の確保は事業の継続・持続的成長の必要条件ですが、当社の事業分野と必要な技術領域はニッチなため、新卒・中途を含めて即戦力の確保は困難です。そこで当社では、在籍する従業員の離職を抑制するとともに現時点から若年層の人材を積極的に採用し、育成することで当社固有の技術を維持・発展させていきます。

  • 1.新卒採用の強化(採用手法の見直し)

    OB、リクルーターによる大学訪問の強化、インターンシップの積極的な実施、採用広報ツールの強化を図るとともに、第二新卒者の採用も強化することで毎年10名以上の継続的な採用を目指します。

  • 2.中途採用の強化(採用活動の効率化)

    人材エージェントとの協働を深めながら、求人票の作成から書類選考、面接、採用決定までのプロセスを高速化し、求人公開から採用までに要する日数を現状の平均4か月から3か月に短縮。マッチングの精度を高め、充足率100%と定着率の向上を図ります。

  • 3.離職の抑制(従業員エンゲージメントの向上)

    当社では2021年より従業員エンゲージメントの向上を中期経営計画の柱の一つとし、働きがいのある職場づくりに取り組んでいます。経営層と従業員のコミュニケーションを活性化し、さらなる労働条件の改善、働き方変革の推進に取り組み、離職率を低減します。

  • 定年退職者と同数の新卒採用で従業員数を維持した場合の人員構成シミュレーション
    (従業員数817名/定年以外の退職者なしを想定)

  • 定着率ならびに従業員エンゲージメント総合スコアの推移・目標

人材の育成

当社では従来よりOJTを中心とした専門的知識・スキルの早期習得に主眼を置き、階層別研修でその補完を図る仕組みの育成体系を運用してきましたが、今後は「マネジメント力」と「価値創造人材」の育成・強化に力を入れるべく人材育成投資を行い、多様な人材を活用して企業価値の継続的な向上につなげます。

  • 1.マネジメント力の育成・強化

    従来の基礎的なマネジメント知識の装着にとどまらず、管理職が自ら行動を変えていくきっかけ作りに主眼を置き、次世代経営陣の育成に取り組みます。また、監督職に対してもコミュニケーション力を重視したマネジメント力向上のための新たな研修を開始。並行して管理スパンの適正化を図り、能力発揮の環境を整えます。

  • 2.価値創造人材の育成

    神鋼鋼線ミッションの達成に向けて、継続的に価値創造できる人材の育成に取り組みます。これまでの専門的知識・スキルの習得に加え、既存の枠組みを超えて発想し自発的に行動する意識を醸成するため、人事ローテーションや社内公募制度の活性化、評価制度・表彰制度の見直しと活用を進め、実践環境の拡充に取り組みます。

  • 3.積極的な人材育成投資

    中期経営計画では人材開発投資費用の大幅に積み増し、マネジメント力の育成・強化と価値創造人材の育成を着実に推進してまいります。

  • 価値創造人材の育成方針

  • 人材開発投資費用

人事制度・就労環境の整備

当社ではこれまでも多様な働き方を可能にする制度の整備に取り組み、フレックス・在宅勤務制度、法令を上回る育児・介護休暇制度、時短勤務制度の導入などを行い、建物設備の改修や導入など就労環境の改善にも努めてきましたが、まだ十分とは言えません。これからも引き続き、全従業員が働きやすい環境づくりを着実に進めることで、「一人ひとりの個性を活かした、多様な人材に選ばれ、働き続けられる会社」を目指します。

  • DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進

    ダイバーシティの推進は、イノベーションを生み出し企業価値の持続的な向上を実現するためには必要不可欠ですが、当社の多様性はまだまだ乏しいのが実情です。経営の最重要課題の一つとして経営トップから全従業員へメッセージを発信し、自ら旗を振って推進することで職場開発に取り組み、多様なロールモデルの創出と求職者に対する積極的なPRを通じて、様々な立場の多様な人材が互いを認めあい、誰もが働きやすい環境を実現していきます。